植木屋などの職人へのお茶出しは必要?【現場の声】
庭のお手入れや内装工事など、お家まわりの作業を依頼する際に
「お茶出ししなきゃいけないのかな?」
と悩む方は多いようです。
結論から言うと、しなければいけないものではありません。
その理由を解説していきますね。
お茶出しとは?
職人の休憩といえば10時、15時というのが一般的です。
植木屋だと、お施主(ご依頼主)からお呼びがかかり、 職人はハシゴから降りて縁側に座り、 出されたお茶を飲みながら世間話を・・・
なんて光景が、未だに見られます。
特にここ長野では、お茶出しは習慣として根付いています。
普通のお菓子を出していただくことが多いですが、 お漬物や果物をいただくこともあります。
愛知出身の私としては、秋のリンゴのおいしさ、 初冬のお手製の野沢菜の味わいがとても新鮮でした。
薄れゆくお茶出し文化
「お茶を出す」という習慣があるのは、 ご高齢の方や都市部を離れた地域ほど多い傾向にあります。
逆に言えば、 街中のお宅や若年の方がお茶を出すというのは稀です。
そもそも共働きのお家は無理なことですし、わざわざ仕事や用事を後回しにしてまでお茶を出す人がいるとは思えません。
お茶出しが当たり前と思う世代が減り、家にお庭をつくるということ自体が減っている昨今、先細りになるのは必至でしょう。
お茶出しのメリット
①コミュニケーションがとれる
職人と施主との打ち合わせの時間にもなります。
施主から「あの木はもう少し低くして欲しいなぁ」 などの要望を伝えるタイミングとして、とても良いと思います。
②作業の確認
お茶ついでに良い位置に座ると、施主目線で庭を眺めることができます。
「あの枝はいらないな」「あそこはもう少し葉を減らそう」と、 修正確認をするのにちょうどいいのです。
「あの枝はいらないな」「あそこはもう少し葉を減らそう」と、
特に縁側は最高ですね!
③活力になる
これは単純なお話しで、人様からの気遣いは嬉しいものですよね。
(後に挙げる、過度なものは別として・・・)
疲れを癒すおいしいお茶は、良い仕事への活力です。
施主の本音
施主にとっては重荷でしょう。
飲み物は温かいほうがいいのか、冷たいのがいいのか。 お菓子はしょっぱいものか、甘いものか・・・
飲食物のチョイスに悩み始めたら、キリがありません。
お茶菓子の買い出しに10時15時のための在宅と、 費やす時間も相当なものです。
世の中にそんなに時間的余裕のある人が沢山いるとは思えません。
しかもそれが大きなお庭では何日も続くわけで・・・気が滅入ってしまいますね。
職人の本音
「そんなに気を遣われても申し訳ない」 というのが大多数を占めるのではないでしょうか。
気遣いも度が過ぎればありがた迷惑になることも・・・。
①職人と施主のタイミングの不一致
・開始時間が遅かったので、10時休憩に呼ばれても早過ぎる
・高い木に登っていて、わざわざ降りるほうが疲れてしまう
・「あとちょっと」という作業の最中で、キリが悪い
などといったことが、現場ではよくあります。
例えば晩秋の寒い日。
日が暮れるのも早いので15時休憩は短めにしたいのに、 30分以上も引き止められて体が冷えた挙句、 ヘッドライトで締めの作業・・・
なんてこともあります。
②飲食したくないこともある
誰もが好き嫌いがありますし、 健康上の理由で食べたくないものもあります。
仕事のための休憩なのに、 食べ過ぎて動けなくなっても本末転倒です。
実際に「もう結構ですよ」 と丁重にお断りしても
「遠慮しないで」「せっかく買ってきたのに」
と押しつけられ、 逃げるように作業に戻ることもあります。
ちなみに私はコレステロール値も血糖値も高めですが( 体脂肪率10%以下なんですが)、 それを伝えても押しつけられたことがあります。
そのお施主さんになぜか問うてみると
「だって、お茶出ししないでケチと思われるのもイヤだから・・・ 」
と、衝撃の言葉が返ってきました(笑)
③衛生面の遠慮
「寒いから部屋へあがって」とお招きいただくこともあります。
しかし、 枝葉や虫をお部屋に持ち込んでしまう可能性もありますから、 かなり気が引けます。
植木職人の多くが脱ぎ履きしにくい足袋を履いていることも多く、 それが面倒なのも大きな理由ですね。
また、感染症対策の面でもよろしくないのは明白です。
※この記事はコロナ時代が始まって3年目に書いております。
まとめ:お茶出しはどうすればいい?
☆そもそも、お茶出しは歓待と応援の気持ちで提供するものです。
施主が負担に感じてまで出す必要はありません。
☆作業内容についてゆっくり相談したい場合などは、 お茶の時間はとても良いタイミングとなるでしょう。
☆あなたの雇った職人がお茶出しをしないことで態度や仕事を変 えるようであれば、それはプロではありません。
早めに他の職人に変えることをおすすめします。
☆職人から「お茶は結構です」と言われたら、それを真に受けて大丈夫です。出さないようにしましょう。
それでも出してしまった場合、言葉では「ありがとうございます」と言っていても、内心は迷惑に思っている可能性が高いです。
☆どうしても出さないと気が済まないのならば、 缶やペットボトルに入った飲料や個包装のお菓子などにしましょう 。
その場で口に入れなければいけない状態よりも、持ち帰って保存できる方が職人としてもありがたいものです。
職人と施主、良い関係性を!
お茶出しは良い文化だと思いますが、お互いが負担に感じるようでは考えものです。
そうならぬように、ご参考いただければ幸いです!
記:稲垣
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