庭木を病気・カビから守る!原因や対策を徹底解説
自宅の庭に木を植えて、その成長や季節に合わせた変化を楽しんでいる方は多いですよね。家のシンボルともいえる庭木には、できるだけ健康な状態を長く保って欲しいと願う方も多いのではないでしょうか。
樹木も人間と同じで、病気の被害を最小限に抑えるためには、早期治療と早めの対策が大切です。今回は、庭木がかかりやすい病気の種類や原因、病気のリスクを下げる対策をご紹介します。庭木に異常が現れたときに早く気付くためにも、ぜひチェックしてみてください。
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庭木の「根」がかかりやすい病気と原因
まずは樹木の「根」の部分がかかりやすい病気と、その原因をご紹介します。
根頭がんしゅ病
桜や梅、ビワの木がかかりやすい「根頭がんしゅ病」は、細菌によって引き起こされる病気です。根と主幹の境目に、粒状の大小さまざまなコブ(がんしゅ)を作ります。
根頭がんしゅ病には根本的な解決方法がないため、とにかく予防することが大切です。苗を植えつけるときに根を傷つけてしまうと、そこから細菌が入って感染してしまいます。作業する際には手指の消毒を行ってください。
白紋羽病
幅広い樹木に発生する「白紋羽病」は、白色や灰色の菌糸が薄い膜を張るように発生し、徐々に根腐れを起こしてしまう病気です。土の中に白紋羽病の被害根や汚染された土が残っていた場合、新しく植えた苗も感染してしまいます。植え付けを行う前に土壌の消毒を済ませておくことで、ある程度感染が防げます。
ナラタケ病
「ナラタケ病」は、食用であるナラタケと呼ばれるキノコが地表近くの根に生える病気で、被害部からはキノコ臭がすることが特徴です。根の表皮下は菌糸でびっしりと覆われていますが、外側からは見えません。若い木がナラタケ病に罹ると、あっという間に葉が黄色や褐色に変色し、徐々に木全体が枯れてしまいます。感染を抑えるためにも、被害の大きい木は伐採しましょう。
庭木の「幹・枝・樹皮」がかかりやすい病気と原因
ここでは、樹木の「幹・枝・樹皮」がかかりやすい病気と、その原因をご紹介します。
てんぐ巣病
「てんぐ巣病」とは、糸状菌や細菌が感染することで発症する病気で、被害部に小枝や小さな葉がまとまって生えてくるのが特徴です。発病した場所はコブ状に隆起するため、その先の枝は生育しなくなります。感染予防のためにも、てんぐ巣状の集まりを見つけたら、コブの部分を切り取って早めに処分しましょう。
こう薬病
「こう薬病」は、木の幹や枝にベッタリと毛足の短いカビが発生する病気です。木の表面に寄生したカイガラムシのフンや分泌物を、糸状菌がエサにすることで繁殖します。カイガラムシを駆除したり、患部をブラシなどで擦り落として薬剤を塗布することで防除できます。こう薬病を防ぐためには定期的に剪定を行い、日当たりや風通しを良く保ちましょう。
庭木の「葉」がかかりやすい病気と原因
ここでは、樹木の「葉」がかかりやすい病気と、その原因をご紹介します。
すす病
「すす病」は、木の幹や枝、葉などがすすをかぶったかのように黒く変色する病気です。最初のうちはあまり目立ちませんが、時間が経過するにつれて徐々に広がり、真っ黒になってしまいます。被害が拡大すると、光合成ができずに樹木が衰弱してしまうため、早期発見が大切です。
すす病は、アブラムシなど小害虫のフンに、糸状菌が繁殖して起こります。原因となる虫を見つけたら、殺虫剤で早めに駆除してください。
うどんこ病
「うどんこ病」は、葉の表面や茎部分にまるでうどん粉のような白いカビが生える病気です。放置していると葉が黄色く変色したり縮れたりして、全体的に枯れてしまいます。樹木だけではなく、畑の野菜や観葉植物にも被害が広がるため、注意が必要です。
うどんこ病の原因になるカビは胞子で増殖するため、一度発症してしまうと翌年もかかりやすくなってしまいます。予防策として、良好な日当たりと適切な湿度をキープして、水はけを良くしておくことが大切です。定期的な剪定を欠かさないようにしてください。
庭木の病気を防ぐための対策
ここでは、庭木の病気を防ぐための対策をご紹介します。
風通しを良くしておく
庭木の病気を防ぐのに最も効果的な方法は、剪定を行い風通しや日当たりを良くしておくことです。樹木の病気の原因となる糸状菌や細菌は、ジメジメとした湿度の高い環境を好みます。余分な枝や葉を取り除いておくことで風がよく通るようになり、湿度が下がってカラッとした環境を保てるでしょう。
また葉や枝が生い茂っている木や、実がたくさんついている木には、病害虫が集まってくる傾向があります。剪定を行い、枝葉や実のボリュームをコントロールしておくことが大切です。
剪定後の切り口処理
庭木を剪定した後には、その切り口から細菌が入りやすくなっているため、癒合剤を塗布しておきましょう。癒合剤は、切り口を細菌などから保護し、樹木の持つ自然治癒力を高めてくれる薬です。癒合剤がなく応急処置をする場合には、墨汁や木工ボンドでも代用可能です。
土壌を改良する
細菌を除去しても、土の中で生きながらえるケースがあるため、細菌に負けない強い土作りを徹底しましょう。腐葉土を混ぜたり、栄養剤を混ぜ込むことで、健康な土を作れます。
また木をはじめとする植物は、根の部分から水分や養分を吸い上げてエネルギーを蓄えるため、根を十分に成長させておくことも大切です。そのためにも、植樹の前には土を掘り返してほぐしておき、土壌の通気性や透水性を高めておきましょう。
病気に強い樹木を選ぶ
庭木の病気を防ぐための対策として有効なのが、病気に強い種類の樹木を選ぶことです。ただし絶対に病気にかからないというわけではないため、最低限の防除対策は講じておきましょう。病気に強く、庭木におすすめの種類は以下の通りです。
- スモークツリー
- ミツマタ
- モクレン
- トサミズキ
- ドウダンツツジ
- ギンヨウアカシア
一般家庭で育てやすいサイズの樹木をピックアップしたので、ぜひチェックしてみてください。
薬剤を使用する
樹木の病気には、虫の発生が原因のものも多く見られます。そのため、害虫のつきやすい種類の庭木には、虫が来る前に防虫対策を講じておくことが大切です。生育過程の適切なタイミングで、防虫用の薬剤を散布しておきましょう。
病気の庭木を放置した場合のリスク
庭に植えている木の異常に気付いても、病気の種類や対処法がわからずに放置してしまう場合があるかもしれません。病気によって木が脆くなってしまうと、強風や大雨で簡単に倒れてしまうリスクが上がります。また木自体の免疫力が下がることで、他の病気にもかかったり、シロアリなどの害虫が住み着いてしまうことも考えられるため、二次的な被害も想定されます。
さらに病気の種類によっては、近くに植えている問題のない木にまで感染してしまう可能性があります。被害を最小限に食い止めるためにも、早期発見と早めの対処が肝心です。先述した通り、庭木の病気を防ぐためには定期的に剪定を行って、風の通りや日当たりをよくしておきましょう。庭木の生育環境に関して不安のある方は、ぜひ信頼のできる業者に相談してみてください。
まとめ
いかがでしたか。庭木がかかりやすい病気の種類や原因、病気を防ぐための対策をご紹介しました。庭木が病気になる原因はさまざまですが、基本的な対処法は、きちんと剪定を行い木にとって良い環境を整えておくことです。
庭木に関する悩みや、生育環境に不安がある場合には、ぜひ専門の業者に相談してみてください。樹木に関する豊富な経験と知識をもって、ベストな解決方法を教えてくれるでしょう。
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