大木は伐採するしかないのか?
様々な理由で邪魔者扱いされてしまいがちな街の大木。
伐採してしまえば元には戻りませんから、しっかり考えてから決めたいものです。
大木の存在価値を見直してみる
・景観を良くし、人にやすらぎを与える
・他の動植物を庇護する
・空気をきれいにする
・周辺の気温や湿度を調整する
・強風を和らげる
・土壌を豊かにし、保水力を上げる
こんな役割が挙げられますが、いかがでしょう。
極端な気象が顕著になり風水害が増えている昨今だからこそ、その存在価値は大きいのではないでしょうか。
大木が疎まれる理由
よく聞かれる例を挙げてみましょう。
①落葉の掃除に困る
②枝が折れたり幹が倒れた場合に、施設や人に被害を与える
③日当たりや見通しを悪くする
④根が道路を隆起させる
こんなところでしょうか。
確かに、大木のそばに住まう人にとっては深刻な問題になることもあり得ますね。
「落ち葉くらい掃除すればいい」と思いがちですが、ひとつ想像してみましょう。
もし自分が高齢であり、不自由な体で掃除しなければならないとしたら、いかがでしょう?
しかも自分の家の屋根に積もって困っているとしたら?
自分で掃除するのは危ないし、人に頼むのも悪いし、業者を雇うのもお金がかかってしまいますよね。
それを「そんな簡単なこと」と一蹴してしまうのも、ちょっと思いやりに欠けているのではないでしょうか。
大木を伐らずに済ませるには?
では、人と木がお互いに快適に過ごすための方法を探りましょう。
1,適切な剪定をする
適切な剪定は、葉の量や枝を減らすことができます。
適切な剪定は、将来的に枯れた枝や幹を生み出すことを防ぎます。
これにより、先ほど挙げた
①落葉の掃除に困る
②枝が折れたり幹が倒れた場合に、施設や人に被害を与える
③日当たりや見通しを悪くする
という3つを改善できるはずです。
「適切な」というのが難しいところです。
スキルの無い業者に任せると、伐ってすぐはスッキリできても、後々に葉の量を増やしてしまうこともあります。
←こんな伐り方を街路樹でよく見かけますよね。
私達は「ブツ切り剪定」と呼んでいます。
これをやってしまうと・・・
※別の木です
←こんな具合に、切り口から密に細い枝が出てきてしまい、結果的に葉は増えます。
さらに、ブツ切り剪定により大枝が枯れてしまう可能性も上がります。
その枯れ大枝を放置しておくと、幹にまで枯れが入り込んで幹の強度を弱めてしまいます。
←こちらはうまく剪定できている例
「枝葉を減らす」という目的を達成できています。
適切な箇所で枝を伐っていますから、枝や幹が枯れてくることもほぼ無いでしょう。
ただし、1回の作業で全体の高さを低くするのが目的ならば、残念ながらブツ切り剪定に頼らざるを得ません。
数年単位で手間をかけて低くする方法はありますが、なかなかそこまでのコストを払えないかもしれませんね・・・。
2,土壌を改良する
枝や幹が枯れたり、虫や病気にやられてしまう根本原因は土(根)の問題と言われています。
土壌の改良にはいくつかの方法がありますが、先に挙げた2つの改善が期待できます。
②枝が折れたり幹が倒れた場合に、施設や人に被害を与える
④根が道路を隆起させる
土を良くして根を元気にすることで、木全体も健康になってゆきます。
人間と一緒で、健康な体は病気になりにくいのです。
根が道路を隆起させるのは地中の水分の問題なので、土壌に手を入れてやることで根は地中の深い方へ誘導されてゆきます。
そもそも、植える際に地面の面積を広くとるのも大事ではありますが。
伐採は最終手段
どうしても大木が邪魔になってしまったり、樹齢の問題で仕方ない場合など、伐採もやむを得ない時もあるでしょう。
そうでなければ、人と木の妥協点を見つける努力をしていただけると、私達のように緑に関わる業者も嬉しいですね!
記:稲垣
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